事業承継と事業譲渡の違い、気をつけたいこと

そろそろ事業を引き継ぐ後継者が必要と思っても、なかなか見つからない経営者は珍しくありません。後継者を見つけて事業承継をするのか、事業を買い取ってくれる会社へ事業譲渡をするのか迷いどころですがしっかり考えてベストな選択をしましょう。

こちらでは事業承継と事業譲渡の違いやそれぞれのメリットについて紹介します。M&Aによる解決を視野に入れた事業存続を考えている経営者はぜひご覧ください。

事業承継と事業譲渡の違いとは

事業承継と事業譲渡はよく似ている言葉ですがその意味は大きく違います。事業承継が誰か後継者を見つけてその人を新たな経営者にするという意味である一方、事業譲渡は会社が営んでいる事業の一部または全部を売り渡すことを意味します。つまり、事業譲渡は会社からある事業を切り離すことになります。

誰か後継者が決まっている場合や会社を丸ごと売却したい場合は事業承継を、後継者が決まっていない場合や会社の外枠は残したいという場合は事業譲渡を選びます。

事業承継とは

事業承継とは後継者に経営を引き継ぐことですが、経営権の他に自社株も渡さなければいけないし後継者としての引き継ぎ(あるいは教育)もないがしろにできません。何より、後継者になってくれる人がいなくては成り立たないので、社内や親族から探す場合は意思疎通の密度が重要になります。

事業承継という言葉が使われるのは主に中小企業で、オーナー社長がほとんどの株を所有しています。今は大丈夫と思っても中小企業の多くは健康や年齢の問題で廃業していることは注目すべきです。

親族への事業承継

オーナー社長の家に生まれた子は会社を継ぐものという常識があることでしょう。実際に、10年ほどまでは子や親族が会社を継ぐことが多かったようですが、現在は必ずしも家族が引き継ぐわけではないようです。

これは世の中の風潮が変わったことや経営者が子に苦労させたくないと考えることも理由だと思われます。少なくとも現代において「いざとなれば息子・娘が引き継いでくれる」ということはあまり期待しない方が良いでしょう。

従業員への事業承継

親族以外の従業員や役員への事業承継はかえって合理的かもしれません。会社の内情を理解し、経営者とのコミュニケーションもある意味親族よりとりやすいからです。事業承継で大切な意思確認ですが、従業員に引き継ぐ場合は経営権だけでなく自社株や個人保証の問題もしっかり解決するようにしてください。

事業承継した後、社員からの信頼を得られるようにすることも大切です。親族の場合は「親族だから」と納得できても同じ社員の中から経営者が急に選ばれることに納得できるとは限りません。早いうちから後継者候補を剪定しておくと良いでしょう。

外部から人物を招へいしての事業承継

かつては外部の人間に事業を引き継ぐなど考えられないことでしたが、現在はむしろ主流になりつつあります。

外部から人物を招聘する場合は、株式譲渡という形で事業承継を行います。要するにM&Aのひとつです。外部の人間への事業承継であっても会社はなくならないので従業員の雇用は守られます。

事業譲渡とは

事業譲渡とは会社のもつ事業の一部または全部を渡すことですが、事業の範囲は明確に決まっていません。事業譲渡の概念は会社法に定められているものの個別具体的に譲受事業と契約を交わします。同じような手続きに会社分割がありますが、会社分割がある事業に関する権利義務を丸ごと渡すのに対し事業譲渡は残したい資産や人材がある場合は柔軟に切り分けられます。

事業譲渡をするには買い手企業を探して、事業の範囲を決めます。そして株主総会で重要事項の決定に必要な3分の2以上の賛成があれば実現します。
もちろん、会社分割にもメリットがあるので詳しく調べておきましょう。

会社の一部事業を譲渡

会社の一部事業を譲渡するのが、事業譲渡の一般的なケースです。売り上げの良い事業を高値で売却して資金を確保する、逆に採算の悪い事業を買い取ってもらってコストカットを図るといった目的で行われます。事業譲渡で売り渡すものは主に設備や人員、技術、営業権などです。

事業すべてを譲渡

場合によっては営んでいる事業の全てを売り渡す場合もあるでしょう。事業を全て売り渡すのならそのまま株式譲渡をすることも考えられますが、それぞれの事業を別の会社が欲しがっている場合や、会社そのものを残したいときは事業譲渡によって全ての事業を売却するのも合理的です。

事業譲渡のメリット

事業譲渡のメリットは会社そのものを残せることや承継させる内容を柔軟に調整できることにあります。簿外債務が気になる場合でも事業譲渡なら買い手企業のリスクがない状態の契約を作れます。

税務の面で言えば買い手企業にとって営業権を経費にできることや新設時の消費税がかからないことが会社分割と比べたメリットになります。

まとめ

事業承継は直前になってから急いで考えても時間が足りず、満足いかない結果になってしまうことがよくあります。特に最近は親族や従業員が当然に引き継ぐと限らないのでなおさら後継者探しに迷われることでしょう。そのような時、選択肢を広げるのがM&Aです。中小企業の場合は、自社より規模の大きな会社が買い手となる場合が多いため会社の存続がしやすく、同じ経営者に承継できる点も安心度が高いです。

経営者・会社・社員みんなにとっていい選択をするためにも専門のM&A会社へ相談しましょう。良心的な会社なら従業員や親族による事業承継も公平に検討してくれます。