取引先に迷惑をかけない方法

経営者の多くは、いざM&Aを実施して他社の傘下になってしまうことで「取引先との信頼関係が壊れてしまうのでは?」と不安になるようです。とくに事業を承継する後継者が不在のワンマン社長などの場合は、その傾向が高いといえるでしょう。

取引先や従業員との間に築いてきた信頼関係はけっして目に見えるようなものではありません。そのような信頼関係を含めた企業の価値は財務諸表だけで計り知ることは不可能です。
従業員だけでなく取引先も会社にとっては大切な資産です。その大事な取引先に迷惑をかけずに、M&Aを実施した後も確実に取引を継続してもらうためには、どのようにすればよいのでしょうか?

主要な取引先への根回しが重要

主要な取引先に迷惑をかけることなく、反対を回避してM&Aの交渉をスムーズにすすめるためには取引先への「根回し」がとても重要です。古くからの信頼関係を重んじる日本人にとって、この「根回し」はビジネスの一部でもあります。根回しなしで取引先に情報を開示した場合は「一言の相談もなく勝手にM&Aをした」と思われてしまいます。付き合いが長く、関わりの深い主要な取引先になればなるほど反発されるのは必至だといえるでしょう。このような最悪の事態を避けるために取引先の要注意人物への根回しを以下の点に注意しながらすすめましょう。

  • 重要人物に相談する前に周りの人間で感触を探っておく
  • 取引先が買い手企業として名乗りを上げ、買い叩かれないように注意する
  • 売却イコール戦意喪失と勘違いされて取引を縮小されないように気を付ける

取引先との信頼関係を十分に考慮し、用意周到に根回しをしていかないとこれから先のお互いの関係に悪影響を及ぼす恐れがあります。取引先に公表するタイミングにはくれぐれも注意するようにしましょう。

取引先に事前に伝えるタイミング

すべての取引先に対して根回しする必要はないため、まずはM&A仲介会社とよく相談しながら、事前の根回しが必要な取引先のリストアップをしましょう。

取引先を絞り込むポイントは以下のような項目になります。

  • 取引が打ち切られた場合、存亡の危機に陥る可能性が高い
  • メーカーの中核的な下請け会社や販売代理店
  • 特定企業と太いパイプがある企業
  • 仕入れ先や販売先が分散している場合は除外

中核的な取引先のリストアップができたら、次は根回しを開始します。タイミングとしては次の3つの段階があります。

M&Aを始める段階

お互いの信頼関係がしっかりと出来ている取引先の場合です。M&Aをネガティブなこととして受け止めない企業なら、この段階で根回しすると良いでしょう。このタイミングを逃してしまうと「どうしてもっと早く教えてくれなかったの?」と不信感を抱かれる可能性があります。ただしタイミングが早ければ早いほど情報漏洩の危険度も増すので、くれぐれも注意する必要があります。

基本合意が見えてきた段階

基本合意を締結してしまった後の場合は、どうしても事後報告というニュアンスが強くなります。そうならないためにも「御社には事前に了承をいただきたい」という意味をこめての根回しです。このタイミングで取引先の同意を得られれば買い手企業側も安心して基本合意を結ぶことができるでしょう。

基本合意の直後

微妙な関係の取引先には、基本合意の直後に既成事実として開示します。もちろん「なんの相談もなしに」と取引先の反感を買ってしまう可能性はありますが、売り手側の立場として買い手との基本合意に至ったこのタイミングの方が強い気持ちで取引先に報告できるからです。

主要取引先にどのタイミングで根回しするかは、仲介会社としっかりと相談して決めることが重要です。とくに根回しをしなくてもよい取引先の場合は、最終契約後に報告すると良いでしょう。

M&Aで失敗したくない方に、よくある課題や問
題を解決する策や得する方法を具体的に会社売
却にともなう不安を解消します。