M&Aを成功させるカギ

M&Aは多くのメリットがありますが、その成功率はおおよそ50%程と言われています。M&Aのプロセスにおいて注意すべきポイント・留意点は多くありますが、その中でも買い手・売り手が事前に心構えとして把握しておくべきポイントについて解説します。

M&Aの買い手としての心構え

いかにシナジーを生み出す相手を選ぶか、戦略ありきで検討する

買い手企業にとってのM&A成功のポイントは、自社の経営戦略の手段と捉え、M&A統合後にどれだけ価値を創出できるかです。
戦略に沿った売り手候補を「財務」「ビジネス」「法務」の3つの視点でじっくり検討する必要があります。

売り手を尊重し、相互満足の関係を目指す

買い手として横柄な態度は絶対に避け、謙虚さと誠意ある姿勢で臨むことが大前提として必要です。統合後のシナジー効果を最大限に発揮するためには、売り手・買い手の間に信頼関係を築く必要があります。
特に条件交渉を行う際には、長期的な関係づくりを前提とした姿勢で望みましょう。

M&Aの売り手としての心構え

いつまでに売却するか「売り時」を見極める

M&Aを行うと決定したら、いつまでに売却を完了させるか設定し、「売り時」を見極めることが重要です。M&Aは買い手にとって「売り手の将来性」を買うことです。そのため、期限を決めずに長く相手探しや交渉を続けてしまうと、会社のピークが過ぎ、最終的に価格交渉で苦しい立場に追い込まれてしまうことになりかねません。

経営者の年齢や後継者問題などで将来的にM&Aが必要になると判断した場合は、必ず「いつまでに売却する」という期限を決めて検討を始めるようにしましょう。

企業価値評価で高く評価してもらえるように誘導する

M&Aにおいて企業価値を評価する計算方法は、どの方法を選択すべきか定められていません。そのため、自社にとって不利な計算方法を採用してしまうと、最終的な売却価格に大きな影響が出て、想定以上に安く事業を売却することになってしまいます。
自社に合った企業価値計算方法を採用することはもちろんですが、P/L(損益計算書)の見せ方を工夫し、営業利益が下がらないようにする(特別損失扱いにする)、不良売掛金など帳簿にない負債の管理を徹底するなど、売却価格を不当に下げられないように厳しくチェックしておく必要があります。

組織・人材の育成に注力する

経営不振や後継者問題を抱えることの多い売り手企業が心得ておくべきことは、M&Aを検討し始めた時以上に「ぜひ買いたい!」と思ってもらえるように、法に則った健全で魅力ある事業にすることを意識することです。

たとえ経営者が抜けたとしても問題のないような組織と人材の育成に注力するよう心掛け行動することが重要です。

売り手・買い手双方にとって必要な心構え

情報の取り扱いに細心の注意をする

M&Aを成功させるために売り手と買い手の双方に共通する押さえるべきポイントは、M&Aを進めていく上での情報は両社にとって「機密情報」であるということをしっかりと認識し、その取り扱いには細心の注意を払わなければならないという点です。

M&Aの成約は譲渡代金の支払いが完了する前はまだ未確定の状況です。悪い噂が流れたり、情報がひとり歩きしてお互いの経営にとってマイナスとならないためにも情報が漏れることがないように、情報の取り扱いの重要性とリスクを共有しておくことがとても大切です。

M&Aアドバイザーは慎重に選択する

社会的にも意義のあるM&Aを、金銭目的のみで利用する「紹介屋」や「ブローカー」といった存在と接触することのないよう注意しましょう。

彼らは本来のM&Aアドバイザーとしての重要な仕事は一切せず、右から左へと案件を紹介するだけの悪徳M&A業者で、以下のようなことを平気で行います。

  • 秘密保持契約や事前の許可なしで第三者に紹介します。
  • M&Aライバル会社に自社案件として紹介します。
  • 取り扱い案件の実績欲しさにどんな案件でも算定なしで受け付けます。
  • 報酬目当てで売却金額を上乗せします。
  • 自社にとって都合の悪い案件は意図的にブレークさせます。

このようにM&Aは自社だけでなく社会的役割が大きい反面、自己利益しか考えない悪徳業者も存在します。

優良なM&A仲介会社であれば、自社の状況や意向を汲み取った上でのM&Aの専門的なアドバイスが得られ、幅広いネットワークで相手先企業を見つけることが可能です。しかし、業者選びを間違え、上記のような悪徳業者を選んでしまうと、M&Aを成功に導くことが難しくなります。

そのため、M&Aを成功させるためには、どのM&A仲介会社を選ぶのか、ということが非常に重要となります。 各企業のM&A担当者は、M&A仲介会社を選定する際に十分注意して業務を進めていく必要があります。