M&A交渉・トップ面談
資料での検討が完了すると、売り手・買い手双方が直接顔を合わせる「トップ面談」に進むことになります。
ここでは、M&Aの本格的な交渉のスタートラインともいえるトップ面談での留意点や、交渉において争点となるポイントについて説明します。
トップ面談とは
ノンネームシートやインフォメーション・パッケージの資料を活用しての精査が終了し、双方のトップ同士による面談のプロセスに入るといよいよM&Aの本格的な交渉が始まります。
トップ面談は譲渡を希望する企業と買い手候補の経営者同士が初めて顔を合わせる「お見合い」のようなものです。信頼関係を構築することでお互いにWIN-WINとなれるような対等の立場でトップ面談に臨むことがM&Aを成功へと導く秘訣です。
トップ面談の留意点
トップ面談は、交渉相手に対して安心感と好意的な第一印象を与える絶好のチャンスであることをしっかりと肝に銘じておくことが大切です。面談に臨む前に注意しておかなければならないポイントを以下に説明します。
売り手側の留意点
- 買い手からの質問に対しては後から問題とならないように、嘘などは絶対につかず誠実な対応常に心掛けること。
- 不明な点は適当に答えたりせず、後日でも良いのでしっかり調べてからM&Aアドバイザーを介して返答すること。
買い手側の留意点
- 売買金額の提示をいきなり切り出すようなことはせず、タイミングと相手の状況をみて適切な判断をすること。
- 高飛車な態度は避け、手塩にかけた大切な子供を預かるような謙虚な気持ちで接すること。
- 「この人なら安心」と思ってもらえるように実績とビジョンをしっかりと伝えること。
お互いに共通する留意点
- 時間をしっかり守り、服装や髪形などの第一印象にも細心の注意を払うこと。
- あまり身構え過ぎるあまり「素っ気ない」と誤解されないように注意すること。
- 言いづらいことは無理をせず、M&Aアドバイザーを通じて伝えること。
トップ面談を数回重ねて相手企業の絞り込みができると、契約書に明記する内容の協議に入っていくことになります。M&Aアドバイザーと事前に打ち合わせをして、相手との交渉がスムーズに進むようにしておくと良いでしょう。
M&A交渉の争点
M&Aにおける交渉では、「少しでも高く売りたい」売り手側と「少しでも安く買収したい」買い手企業側の利害が対立することは避けて通ることはできないと言ってよいでしょう。
交渉の最大の争点となる「売買金額」
両社の交渉における最大の争点は、売買金額になることはまず間違いありません。一般的には売却希望額として売り手が提示します。しかし買い手からアプローチするようなこともあり、その場合は買い手側が買収希望額を提示することになります。お互いに価格提示をするときはバリュエーションを実施して、相手の出方をみながら慎重におこなうようにするとよいでしょう。
M&Aにおける主要な交渉の争点
なかには買い取り価格が高ければそれで良いという判断をしない売り手企業も存在します。そのような企業は「大切な従業員や取引先との関係の継続」を重要視し、その「思い」を託すことができる相手なのかどうかを最優先とします。
一般的にM&A交渉をすすめていくうえで争点となるのは以下のようなポイントが考えられます。自社の争点を整理し、相手企業を理解するためにも参考にしておくと良いでしょう。
売り手の争点の参考例 | 買い手の争点の参考例 | |
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譲渡価格 |
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引継ぎの期間と条件 |
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譲渡の時期 |
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支払い条件 |
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競業避止 |
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その他 |
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上記以外にも、M&Aにはさまざまな交渉項目が存在します。交渉に入る前に、自社と相手先候補が考える争点の優先順位を整理しておく必要があります。交渉をスムーズに進めていくために、まず相手にとって優先順位が高く自社にとって低い項目をあえて選びます。このように「譲歩」したように見せかけて、優先順位の高い自社の希望を通すのもテクニックのひとつです。
その他、M&Aにおける交渉の争点
- スキーム
- 分割やエスクローの支払いのタイミング
- 事業計画の進捗状況に見合った価格
- キーパーソンとなる従業員の継続勤務
- M&A実施後の取引先との関係の継続
- チェンジ・オブ・コントロール条項の確認
- 内外への告知や発表の方法とタイミング
- M&A実施後の旧経営者の待遇
- オーナーの連帯保証問題
- 事業とは無関係な資産の取り扱い
- 賃料の是正
- 顧問税理士の継続
- 許認可関係の継続
「M&Aを検討したいけれど、スムーズに進むか
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