いくらで売れる?会社・事業の売却相場

会社を売却するうえで考えるべきことは会社そのものを売却するか会社を残して事業だけを譲渡する形にするかです。どちらもメリットとデメリットはありますが会社売却の方が事業売却より高く売れるのが相場です。
しかも支払うべき税金の種類や税額まで異なってきます。
専門性が高いので会社売却が頭によぎったらまず信頼できるM&Aアドバイザリーに相談する。周りにいない場合は、まずM&Aアドバイザリーを探すことが大切です。
この記事では中小企業の経営者のために会社売却と事業売却では、どのような差が生じるのか、なぜ意義ある取引のためにM&Aアドバイザー選びが重要なのかを分かりやすく解説します。

事業売却と会社売却の相場には大きな差がつく

会社売却と事業売却の金額を比べると会社売却を選んだ方が売却額の相場が高くなります。理由は簡単で会社売却の方が買手に引き渡す資産が多く、その分、金額が高くなるからです。

会社売却の場合は
全ての資産が移動する

会社売却を行う時は会社の持っている資産全てが移動します。資産とは、株式や不動産、事業運営で必要になる工場、パソコンなどの設備、そして社員です。会社売却の相場は純資産に5年ほどの営業利益を上乗せするか、今後のキャッシュフローをベースにしたものが採用されます。そうである以上、事業売却で会社の一部の資産が、買手に移るよりも、資産全てが移る会社売却の方が高くなるのは当然です。キャッシュフローをベースに見た時も会社全体の利益の方がコア事業の利益より大きくなる場合が多いでしょう。

事業売却の場合は
事業が移動するだけ

一方で事業売却の場合は該当する事業だけを売却するため資産が限定されます。そもそも売るべき“事業”の範囲が不明確です。例えば事業の権利だけ、特許だけ売る場合はそれ以外の資産を買い手企業が得られません。もしその事業に必要なマンパワーを割けず売り手企業の社員が持つ技術で成り立っているのならほとんどM&Aの価値を見いだせないでしょう。

よって譲渡価格は著しく下がります。正社員が移動するかどうかで10倍以上の価格差がつくことさえあるほど事業譲渡はデリケートな取引です。

逆に事業売却であってもその事業を行うために必要な資産を売り手企業が十分に売却し熟練の社員も買い手企業に移動させてくれるなら事業売却であっても会社売却に匹敵する価値を出せるでしょう。

事業を高く売りたい場合は別会社
として子会社化するのもよい

もし、会社からどうしても事業だけを切り離して売りたいと考えるならその事業部門だけを子会社化して売却する方法があります。これなら本社を残してその事業に関わる資産を明確に売り渡すことができます。子会社化することは事業売却でありがちな「人件費の計算が不明確」という問題も解決できます。

ところが事業売却を望む中小企業の経営者は社員を手放したくないからその選択をしているケースが多いです。もちろん、会社売却であっても人材がいなくなってしまえば評価額が落ちるので気をつけましょう。

事業のキーマンを買い手企業に勤続させるロックアップ条項について売り手企業が拒否したために4.5億円の取引になるはずのものが1.7億円で妥結された例もあります。

事業売却時と会社売却時の税金の違い

事業売却時と会社売却時は売却利益だけでなく税金も異なります。しかも事業売却の方が低い相場であるにもかかわらず高い税金がかかります。したがって会社売却と事業売却を金額ベースで考えた時、必然的に会社売却の方が得という結論が出ます。

会社売却時の税金は
所得税と住民税がかかる

会社売却といっても直接財産を売り渡すわけでなく株式の譲渡が行われます。企業売却の利益は元経営者が得るわけですから譲渡所得についての税金がかかります。会社売却時は所得税が15%で住民税が5%かかります。つまり20%が税金となるわけです。

会社売却時の税金 所得税15% + 住民税5% = 20%

例えば1000万円で会社売却を行った場合は200万円を税金として支払い800万円が収入となります。新しく事業投資を考えている時も税金を計算に入れたうえでの行動が望ましいです。

退職金の所得税を利用するために売却利益の一部を退職金として受け取る契約をする場合もありますが、退職金の税率は累進課税なのでバランス調整を忘れないでください。

事業売却をした場合は
法人税と消費税がかかる

事業売却は企業と企業の売買です。そのため売却利益を得るのはオーナー社長でなく法人です。したがって課される税金は法人税と消費税です。消費税は10%で法人税等は合わせて40%ほどになります。

事業売却時の税金 法人税 + 消費税10% = 約40%

例えば事業売却で500万円の売却益が出た場合、240万円を税金として支払うことになります。会社売却の倍以上に税金が発生していますね。

しかも事業売却で法人が得た利益を個人が受け取るためには個人の所得に対する税金がかかる場合もあります。だからこそ多くの場合は事業売却でなく会社売却を選択し、事業売却をする場合でも別会社を作ります。

事業売却をしたい場合のポイント

もし事業売却を選びたい、会社と人を残したい事情がある場合はこのようなポイントで対策したうえでの事業売却がおすすめです。

引継ぎ契約の実施

事業だけ売却するうえで大切なのは買収企業がその事業を運営できることです。そこで事業のみを売却する場合でも買収対象企業がある一定の期間事業の運営に関わって引継ぎを行います。引継ぎ契約を行う場合は顧問料や成果報酬という場合で取引の評価額が上乗せされます。

デューデリジェンスの実施

引継ぎ契約の可能性も含めM&Aの資産評価を行う方法として有効なのはデューデリジェンスです。デューデリジェンスは売却企業が本当に収益を出しているのか、買い手企業が事業を続けられるのか、今後はどのような将来性があるのか、管理部門は健全であるかなどを第三者がチェックするもので、検討すべき要素が複雑な会社売却に比べて事業売却の方が簡単に行えます。

デューデリジェンスは早くて3か月、遅くとも1年の間に行われます。

会社売却をしたい場合のポイント

会社の持っている資産を全て譲渡する会社売却をしたい場合はこのようなポイントで対策したうえでの会社売却がおすすめです。

会社の実態を正確に把握する

会社を売却する過程で、十分な価値があるのか、リスクはどの程度あるのか等を調査するデューデリジェンスがあるため、会社の財務やビジネスの情報を正確に把握しておく必要があります。

会社売却のタイミングを逃さない

会社を売却するベストなタイミングは業績が良いときであることは間違いありません。ただ、その他にも、代表者が高齢化しているものの、後継者が見つからないとき、資金繰りが難航し、経営不信に陥っているとき等、一見悲観的な状況でも会社を売却できる可能性はあります。売却したいと思ったときにタイミングを逃してしまっていたら後の祭りですので、企業価値の高いタイミングを逃さないように専門家に相談することも大切です。

売却金額を高くする方法

会社売却でも事業売却でも大切なことは可能な限り高い金額での契約ができることです。売却金額を高くする、すなわち買い手企業に高く評価してもらうにはどのような方法が効果的なのでしょうか。

人材をセットで売却する

まず大切なのは人材をセットで売却することです。人材は会社の重要な構成単位でスキルが俗人的なものであればあるほど在籍する人間の価値が高まります。会社に在籍している労働者の技術が高いことや、引継ぎが容易でない技術を持っている場合は社員をしっかり引き留めてから取引に臨みましょう。

同業他社が驚く強みを示す

次に大切なのは同業他社が驚く強みを示すことです。異業種を営んでいる会社が買収することもありますが基本的には資産を活用しやすい同業他社が買い手となる傾向にあります。M&Aは利益・シェアの拡大とシナジーの創出を目指して行われるものですから特段強みが無い企業はどうしても安く評価されてしまいます。

強みを見つけましょう。強みというのは何も売り上げや技術だけではありません。企業としての地盤の強さや取引先の量と質なども買い手にとっては買収する理由となります。他にもその企業にしかない独自性があれば思わぬ強みとしてアピールが可能です。

M&Aのストーリーをしっかり作る

会社の価値を魅力的に伝えるためには強いストーリーが欠かせません。どれほど良いものを持っていても相手に正しく伝わらなければチャンスを逃してしまいます。会社の価値に共感し、明るい未来を描けるほどの言語化が買い手の心を打ちます。

ところがプレゼンテーションやストーリー作りに不慣れな「もったいない」中小企業のオーナーがたくさんいます。もし会社の魅力を伝えられずに困っているなら中小企業の売却になれたM&A会社を活用しましょう。実績あるM&Aアドバイザリーは事業の価値を言語化して買い手にアプローチするストーリー作りに長けています。

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