会社売却の進め方と必要な手続き

中小企業が会社売却を考えた時、経営者の頭を悩ませるのが手続きの難しさです。仲介会社を決めて契約書を締結して事業調査をして企業概要を出してPMIをして…とやることが多く、どの段階においても深い経済と法律の専門性が問われます。

こちらでは事業譲渡や事業再生を考えているけれどM&Aの勉強が難しいと二の足を踏む社長様のためにM&Aの進め方や手続きを「具体的な動き」が想像できるように解説します。

高く売るための事前準備をする

会社売却における成功は“望み通りに売れる”ことです。経営者の意思が受け継がれる、社員が守られる、事業承継がうまくいくなど評価したいポイントは色々ありますが、誰もが気になるのはお金だと思います。

高く売るためにはどのような準備が必要でしょうか。

偶発債務や簿外債務などのマイナス要素を軽減しておく

会社には高く売れる要素と企業価値評価が下がってしまう要素があります。したがって、想定の範囲内で発生している債務の他に偶発債務や簿外債務などのマイナス要素も軽減しておかなければいけません。

特に帳簿にしっかり記録されていない取引は不正取引を疑われやすいです。法令に反するような取引が多いとそれを理由にM&Aがとん挫することもあるので気をつけましょう。

基本的に債務が発生している場合は本来の取引額と差し引きされます。

業績を調整し、会社の潜在価値を明確化する

会社を高く売るためには「明確な価値を示す」ことが欠かせません。企業の価値とは売り上げや純資産など分かりやすいものから歴史や人材、取引先データなどお金に換算しづらいものまでを総合します。これからの利益を見越して買収するわけですから。

企業買収には会社売却と事業譲渡の2パターンがあります。

会社売却は株式譲渡という形で行われます。会社はそのままで経営者だけが交代する形です。この場合は会社そのものの価値が売却額になります。

事業譲渡は、会社から事業に関わるものを切り離して売却が行われます。実際に譲受するものはケースバイケースですが一般的に会社売却より契約が不安定である反面、企業価値を評価しやすい傾向にあります。

会社売却のスケジュールを決める

会社売却には複雑な手続きが多いため、スケジュールを早めに決めたいです。会社を売ると決めていても愛着や不安を理由になかなか手放せない経営者も珍しくありません。

企業売却を決めてから実際に売るまでの間、変わるのは社内だけではありません。世の中の流れや市場の動きも分かります。つまり、すぐに売れば高値が期待できた取引も気を逸することで思わぬ損につながります。

スケジュールを決めることは計画に現実性をもたらすメリットがあります。大まかで良いので「いつまでに会社を売るか」を決めるとおのずとすべきことが見えてきます。

売却における優先順位を決める

会社を売却するうえで金額にこだわることは大切です。しかし、金額がすべてだという経営者はむしろ少数派だと思われます。企業を売却するうえで譲れないポイントがいくつかあるなら、優先順位を決めておきましょう。例えばこのようなことを考えておきたいです。

  • 株式譲渡によって社長個人に入る金額
  • 従業員の雇用
  • 経営理念が守られること
  • 知的財産の扱われ方
  • 買い手企業の将来性

M&A会社を選定し、相談する

会社を売却すると決めたらM&A会社に相談してください。会社売却の手続きは複雑で自社の評価も買い手企業の評価も冷静に行わなければいけません。どんなに価値のある企業でも交渉で不利な条件を飲んでしまえばそれまでです。売却やその後の法的手続きも中小企業にとってはぜひ専門家のサポートを受けたいポイントです。

M&A会社の選定はマッチングが最重要

M&A会社の選定で大切なのはマッチングです。たとえ知名度が高くても大企業向けのM&A会社には中小企業を高く売ることは難しいです。M&Aは70%が失敗に終わると言われていますがその主な原因こそM&A会社の選択ミスです。

M&A会社を選ぶときはその会社の得意分野を知りましょう。そうすれば要望に応えてくれるか否かが分かります。

特に中小企業の場合は「事前準備」に関して深くサポートしてくれるタイプのM&A会社を選ぶとスムーズかつ価値のある企業売却が実現します。

自社とM&A会社の相性を知りたい方はこちらからマッチング診断をしましょう。

M&A会社は大きく分けて3タイプ

M&A会社には大きく分けて金融系、事業コンサル系、仲介系の3タイプがあります。

金融系は規模が大きく取引先や案件リストがとても多くなります。そのため情報量を活かしたマッチングができます。ただし金融系は会社を探すことはできてもその会社の価値を上げるための戦略立案や売却後のサポートが弱みです。よって、自社のガバナンスが盤石な大企業にお勧めです。

事業コンサル系は高く売るための戦略が必要で経営サポートも望む中小企業にお勧めです。コンサルタントとしての実力を活かし、その会社に合った柔軟なM&Aを得意とします。案件量や制約スピードよりも取引の質を重んじる経営者に指示されます。監査法人や税理士法人出身の専門家も多く在籍しています。

仲介系はとにかくマッチングのスピードにこだわります。仲介業を専門としているので中小規模でも情報量が多く、可能な限り早く会社を売りたい人におすすめです。しかし、早く会社を売るということは十分な戦略を立てられないことを意味します。また、売却後のサービスをそもそも行っていない会社も珍しくありません。タイムリミットが明確ならこのタイプがおすすめです。

買い手企業を探し、交渉する

買い手企業を探す時はお互いの欠陥を補えること、足し算以上の価値を創出できることが基準となります。M&Aの目的はお互いの企業価値向上ですから、シミュレーションをした段階で価値が下がるようなM&Aは避けるべきです。

企業調査を経てふさわしい買い手が見つかったら交渉します。交渉の材料は企業の概要と事業計画書です。企業の概要では現在の価値を、事業計画書ではこれからの価値を示します。交渉はトップ面談から始まりますが、大企業の場合は儀礼的意味合いが強く中小企業の場合は意思確認の意味合いが強いです。細かい交渉はM&A会社が代行してくれます。

ある程度の交渉を経た段階で基本合意書を締結します。そして最終契約をする前に改めて買い手企業が売り手企業をチェックします。これは財務情報などの正しさを専門家が確認するものでデューデリジェンスと呼ばれています。

売買契約を結ぶ

デューデリジェンスを終えて問題が無ければ最終合意をします。売却をした後は事業承継や経営統合などの作業を行います。これらはM&Aの後始末どころかむしろM&Aの本番でここで手を抜くとM&Aそのものが崩れます。

M&A後の手続き(PMI)こそ専門家の力を借りて遂行してください。

まとめ

会社を売却するまではこのように流れます。正しい価値で売却するためには事前準備を念入りに行うべきですが、具体的な価値の判断やスムーズな手続きを実現するならM&A会社の協力が求められます。

M&Aを“経営サポート”と呼べるレベルまで支えてくれるM&A会社を選べば法務や経理面で不安の残る中小企業でも、安全にリスクを回避し強い交渉ができます。M&A会社はまさに経営者のパートナーです。

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